渾身のプレゼンが社員のやる気を封印させた

3年前の年度方針説明会での社長のプレゼンは気合が入っていました。明確な数値目標を掲げ、そのために必要なことを、理路整然と1時間にわたって熱く語っていました。

社長にとっては渾身のプレゼンだったのかもしれませんが、聞いていた社員は全員が下を向き、やる気は益々低下していきました。

それもそのはず、「悪いのは社員」、「変わるのは社員」と熱く語られてもやる気があがるわけがありません。

しかし、今年の年度方針説明会は一味違いました。

社長自身を主語に「原因は自分にもある」、「自分から変わる」と語り始めたのです。

お前は客か!

ある自動車販売会社の社長が、組織風土診断のアンケートを社員からとりました。そこでの自由記入欄に強烈な一言が書いてあったのです。

「社長はお客様駐車場に車を止めるけど、お前は客か!」

これを見た社長はずいぶんと頭に来たそうです。しかしこの社長はこの言葉を真摯に受け止めて、自分の態度を改めていったのです。

一瞬頭にくるようなフィードバックですが、そんなフィードバックによって人は変わるきっかけをつかむのかもしれません。

初めて生まれた仲間意識−社長の言葉より仲間の言葉

職人気質の人が多く、トップの方針もスムーズに通らない、社員もお互いコミュニケーションがほとんどない。そんな状況を打破しようと、社長自ら「対話」を中心に会社をよくする活動に取り組みました。

世話人が中心となり、ところどころでオフサイトミーティングや飲み会を開催。少しずつ社内の会話も増え始めたかなという頃、一人の重要な戦力である社員が退社を表明したのでした。

社長はなんとか説得してとどまってもらおうと試みますが、本人の意思は変わりません。

その社員の退職日当日、その社員が辞意を撤回しました。しかも、前向きにこの会社での仕事に取り組もうという意思も見えたのです。

その変化の原因は、同じ職場の二人のメンバーからの声かけでした。このメンバーは本人のことを心配して、いろいろ話をしたようでした。

社長も「うちの会社でこんなことは初めてだ」と驚いていました。それと同時に、やはり社長の言葉より、仲間を思う仲間の気持ちの方が大きいのか、と改めて感じられたようです。

仲間はずれを乗り越えて

これはあるメーカーの支店長の話です。

この支店長は自分の組織をもっと活性化させようとスコラに問い合わせをされてきました。自分の部下の課長たちとオフサイトミーティングをしたいという依頼でした。

相談を受けたプロセスデザイナーは、この支店長と部下が一緒になって「気楽にまじめな雑談」はできにくいと判断し、課長だけでのオフサイトミーティングを実施しました。

課長だけの一泊二日のオフサイトは、ほとんどが支店長の悪口でした。

支店長は結果が気になって、その後ある課長に尋ねました。

○支店長
「スコラさんから聞いたけど、せっかく2日も時間をやったのに80%くらい俺の悪口だったみたいやな。」
○課長
「いえそんなことはありません。ほぼ100%悪口でした。」

この後、支店長と課長の会議の様子が変わりました。
いままで支店長と課長とのツーウエイのやりとりだったのが、課長同士がお互いに意見を言い合えるようになり、会議での議論が活性化しました。

その変化を見て、この支店長は変革への思いをさらに強くしたのでした。